パナソニック インダストリー / 制御機器
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リレー使用上の注意事項

メカニカルリレー セレクションガイド

リレーを実際に使⽤するにあたってはいろいろな周囲条件に遭遇し、不測の事故が発⽣することがありますので、実施可能な範囲で実使⽤条件でテストをしてください。
以下に使⽤上の注意点を記載しますので実使⽤に際しご検討ください。

カタログ、仕様書に記載されております条件範囲でのご使⽤をお願いいたします。カタログ、仕様書記載条件の範囲外でのご使⽤によって不具合に⾄った場合、品質を保証いたしかねます。

カタログに記載している参考データは、サンプルを評価/測定した結果であり、保証値ではございません。

安全に関するご注意

  • コイル定格、接点定格、開閉寿命など仕様範囲を超えて使用しないでください。異常発熱、発煙、 発火のおそれがあります。
  • 当社は品質、信頼性の向上に努めていますが、一般に電気部品・機器はある確率で故障が発生します。 また、使用環境、使用条件によって耐久性が異なります。 ご使用の際は、実際に使用するにあたっての信頼性を高めるため、実使用における最悪条件での評価をお願いします。 性能が劣化した状態で引き続き使用されますと、絶縁劣化により、異常発熱、発煙、発火のおそれがあります。 製品の故障もしくは寿命により、結果として人身事故、火災事故、社会的な損害などを生じさせないよう冗長設計、 延焼対策設計、誤動作防止設計などの安全設計や定期的な保守の実施をお願いします。
  • リレー通電中に、充電部に触れないでください。感電の危険があります。
    リレー(端子台、ソケットなどの接続部品を含む)の取り付け、 保守、故障の処置を行う場合は必ず電源を切ってください。
  • 端子の接続につきましては、カタログや仕様書の内部結線図をご確認の上、正しく接続してください。 誤った接続をされますと予期せぬ誤動作・異常発熱・発火等で回路損傷の原因となるおそれがありますので、 注意してください。

1.リレー選択上の注意事項

リレーを正しく使用するためには、選定するリレーの特性を良く知り、リレーの使用条件、 環境条件に合致するものであるか否かを検討すると同時にリレーを実使用するに当たってのコイル定格、 接点定格、周囲条件を十分熟知しておく必要があります。 下表にリレー選択上の考慮すべき項目をまとめてみましたので、ご参照ください。

項目選択上の考慮点
コイルa) 定格
b) 感動電圧(電流)
c) 開放電圧(電流)
d) 最大印加電圧(電流)
e) コイル抵抗
f) 温度上昇
  • 電源電圧を考えてリレーを選定する。
  • 使用する雰囲気の温度とコイルの温度上昇およびホットスタートなどを十分考慮する。
  • 半導体でリレーを駆動する場合は、電圧降下に注意する。
  • 始動時の電圧ドロップに注意する。
接点a) 接点構成
b) 接点定格
c) 接点材料
d) 開閉寿命
e) 接点接触抵抗
  • 使用する機器の寿命とリレーの寿命のバランスは良いか?
  • 接点材質は負荷の種類に合っているか? 特に低レベルで使用する時は注意する。
  • 高温中では開閉寿命が低下する場合があるので、実雰囲気での寿命を確認する。
  • 実回路、実負荷等の実使用条件での確認をする。
動作時間a) 動作時間
b) 復帰時間
c) バウンス時間
d) 開閉頻度
  • 周囲温度、印加電圧により動作時間バウンス時間が変化することに注意する。
  • 動作、復帰時間はバウンス時間を含まないことに注意する。
  • 開閉頻度により開閉寿命が変化することを考慮する。
機械的特性a) 耐振性
b) 耐衝撃性
c) 使用周囲温度
d) 開閉寿命
  • 使用する場所の振動衝撃と性能を考慮する。
  • リレーの許容周囲温度を確認する。
その他a) 耐電圧
b) 取り付け、端子
c) 大きさ
d) 保護構造
  • プラグイン型、プリント板端子、はんだ付け、ネジ止めなどの接続方法を選択する。
  • はんだや洗浄などプリント板への実装方法による保護構造を選択する。
  • 使用する雰囲気が悪い時は密封構造型(プラシール型)とする。
    ただし、使用環境条件によっては密封性が破壊する可能性があるので、実雰囲気で確認する。
  • 特殊な条件は無いか?

リレーの基本的な取り扱い

  • 初期の性能を維持するためには落としたり衝撃を与えたりしないようにご注意ください。 また、リレーが落下した場合は、使用しないでください。
  • ケースは通常の取り扱いでは、外れないようになっています。 初期の性能を維持するために、ケースを外さないようにしてください。 特性が保証できなくなることがあります。
  • ご使用場所の周囲温度はカタログ値を超えないようにご注意ください。
  • 塵埃、硫化ガス(SO2、H2S)や有機ガスが少ない常温常湿の雰囲気中での使用をおすすめします。
    ご使用場所の周囲雰囲気の悪い場合は、プラシール(密封型)リレーをご検討ください。
  • リレーの周囲にシリコーンガスの発⽣源(シリコーンゴム、シリコーンオイル、シリコーン系コーティング剤、シリコーン充填剤など)を使⽤するとシリコーンガス(低分⼦シロキサンなど)が発⽣し、プラスチックの透過性によりシリコーンガスが製品内に浸入します。このような雰囲気下でリレーを使⽤・保管されますと、シリコーン化合物が接点に付着して、接触不良になることがありますので、シリコーンガスを発⽣させるものはリレー(プラシールリレーも)近傍で使⽤しないでください。
  • ガソリン・シンナーなど引火性・爆発性ガスが存在する場所で使用しないでください。
  • 有極リレーのコイル (+) (-) 接続は、結線図の指示に従ってください。 間違えると誤動作・異常発熱・発火などの原因となり、動かない場合があります。
    セット・リセットコイルへ同時に通電しないでください。
  • コイルには定格電圧を印加してお使いください。またDCコイルには矩形波、ACコイルには正弦波を印加してください。
  • コイル印加電圧が最大印加電圧を超え連続印加されることがないようにしてください。
  • 接点容量や開閉寿命は一応の目安です。 接点の現象や寿命は、負荷の種類や諸条件により著しく異なる事がありますので、 使用に際しては十分ご確認ください。
  • 自動はんだをする場合はフラックスタイトか密封型(プラシールなど)をご使用ください。
  • 密封型リレー(プラシールリレー)は洗浄ができますが、 はんだ後ただちに洗浄液などの冷たい液にじゃぶづけすることはおさけください。 密封性を損なうことがあります。
    サーフェスマウント端子のリレーは密封型のため丸洗い洗浄が可能です。 洗浄液はアルコール系もしくは純水を使用してください。
    洗浄はボイリング洗浄をおすすめします(洗浄液の温度は40°C以下にしてください)。 リレーの特性に悪影響を与えますので超音波洗浄は行なわないでください。 超音波洗浄をすると、超音波エネルギーにより、コイル断線や接点の軽いスティッキングの原因となります。
  • タブ端子のリレーにおけるファストンの挿入強度は、40~70 N(4~7 kgf)を目安としてください。
  • プリント板端子のリレーにおいて端子を曲げて自立端子にすることはおさけください。 リレーの性能が保証できなくなることがあります。
    品種により自立端子もありますのでご確認ください。

2.コイル入力に関する注意事項

リレーの動作を確実に⾏うため、コイルには定格電圧を印加してお使いください。 感動電圧以上の電圧印加でリレーは動作しますが、電源の種類、電圧変動、温度上昇によるコイル抵抗の変化などを考慮すると、コイルには、コイル定格電圧を印加することが必要であり、また最⼤印加電圧以上の電圧を加えるとコイルのレアショート、焼損などを起こす場合もありますので、ご注意ください。 また、最⼤印加電圧はコイルに印加できる電圧の最⼤値で連続印加を許容するものではありません。規定の性能を得るためには、コイル定格電圧を印加してください。

■コイルの基本的な注意事項

交流動作型(AC型)

AC型リレーを動作する電源はほとんどが商用周波数(50または60Hz)で 標準電圧としては6, 12, 24, 48, 100, 200V ACがあります。 このため標準電圧以外の電圧の場合、特注品的要素となり、価格、納期の安定化の面で不都合を生じることがあり、 できるだけ標準電圧のものを選定してください。
またAC型は、隅取コイルの抵抗損、磁気回路の渦電流損失、ヒステリシス損失などがあり、 コイルの入力も大きくなりますので、一般に温度上昇がDC型よりも高くなります。 さらに感動電圧(最少動作電圧)以下及び定格電圧以上ではうなりを生じることがありますので、 電源電圧の変動にご注意ください。
例えばモーター起動の際に、電源電圧がドロップしますと、リレーはうなりながら復帰し、 接点が焼損、溶着、あるいは自己保持がはずれるということが起こります。
AC型では動作時に突入電流(可動鉄片の離れた状態ではインピーダンスが低く定格電流より多く流れ、 可動鉄片が吸着された状態ではインピーダンスが高くなり定格電流の値が流れます)がありますので、 数多くのリレーを並列接続して使用される場合には、消費電力とともに考慮してください。

直流動作型(DC型)

DC型リレーを動作する電源は電圧を基準とした場合と、電流を基準とした場合があり、電圧を基準とした場合の標準電圧は5、6、12、24、48、100 V DCなどですが、電流を基準とした場合には、 カタログなどに感動電流何mAと表現しています。
しかし、感動電圧(電流)は可動鉄⽚がかろうじて動くという最低保障にしかすぎませんので、印加電圧と抵抗値のバラツキ、コイルの温度上昇による抵抗値の増加を考慮するとコイル定格電圧(電流)を印加してください。 またDC型では限界リレー(電圧または電流がある限界値になったとき、リレーがON、OFFするもの)的な使⽤⽅法が取られ、メーターの代⽤として使⽤される場合が多いのですが、これはコイルに印加される電流が徐々に増加または減少するので接点の移動が遅くなり規定の接点容量を満⾜し得ない場合がありますのでご注意ください。
コイルに印加される電圧波形は矩形波を原則とし、急激に上昇(瞬時ON)/急激に降下(瞬時OFF)でご使用ください。
DC型リレーのコイル抵抗値は周囲温度の変化、およびリレー⾃⾝の発熱によって約0.4%/°Cの変化をきたし、温度が⾼くなると、感動電圧および開放電圧が⾼くなりますのでご注意ください。(ただし、⼀部の有極リレーではこの変化率がかなり⼩さくなります。)

■コイル入力電源について

交流コイルの入力電源

リレーを安定動作させるためにはコイル定格電圧を加えてください。 なお、電源電圧の変動は基本的にコイル定格電圧の-15~+10%の範囲にしてください。 ただしコイルに印加する電圧は正弦波形が理想的ですが、商用電源をそのまま使う場合は波形をご確認ください。 交流の安定化電源を使用した場合、その装置の波形ひずみによってうなりを生じたり、異常過熱をする場合があります。 交流コイルは隅取りコイルによってうなりを停止する構造となっていますが、 波形ひずみがこの機能を発揮させないためです。図1に波形ひずみの例を示します。
リレーの操作回路の電源と同じラインにモータ、ソレノイド、トランスなどが接続されていて、 それらが動作したとき電源電圧が低下し、そのためリレーがバイブレーションを起こして 接点を焼損する場合があります。特に小型トランスを介しているとかトランスの容量に余裕の無いとき、 配線の長い場合あるいは家庭用、商店用などで配線の細い場合などもこのような使い方になりますので、 通常の電圧変動と合わせてご注意ください。 このようなトラブルが発生した場合には電圧の変化状況をシンクロスコープなどで正しく調査し、 その対策を講ずると共に、それらに適した感動特性のリレーを特別に採用するか、 DC回路に交換して図2のような回路でコンデンサによる電圧変動吸収をするのも一つの方法です。
特にマグネットスイッチを使用される場合、負荷がモータなどで変動が大きくなりますので、 用途によっては操作回路と電力回路を分けることも併せてご検討ください。

図1:交流安定化電源のひずみ

(正弦波)

正弦波

(台形に近い波形)

台形に近い波形

(第3高調波を含んだような波形)

第3高調波を含んだような波形

図2:コンデンサを用いた電圧変動吸収回路

コンデンサを用いた電圧変動吸収回路

直流コイルの入力電源

直流型リレーのコイル両端にかける電圧は、コイル定格電圧の±5%の範囲にしてください。
直流型リレーの電源としては、バッテリー、全波あるいは半波整流回路と平滑用コンデンサとの組み合わせ などがあります。リレーの感動電圧などの特性はこれら電源の種類によって多少変化しますので、 安定した特性を発揮させるには、完全直流が望ましい使用方法です。
リップルを含む直流電流の場合、特に半波整流回路と平滑用コンデンサとの組み合わせ時において 平滑用コンデンサの容量が過少であるとリップルの影響により、感動電圧が大きく変化したり、 うなりが発生するなど不都合を生じることがありますので、 リップル率5%以下になるような直流電源の配慮が必要です。 実使用における最悪条件での評価をお願いします。
また、次のような場合もございますので、当社営業担当までお問い合わせください。

  • 1)ヒンジ形リレーでは半波整流だけでは使用できませんが、 半波―平滑コンデンサとすることにより使用できます。ただしリップル率および、特性検討を要します。
  • 2)ヒンジ形リレーでは全波整流だけで使用できる機種とできない機種がありますので、 当社営業担当までお問い合わせください。
  • 3)コイル印加電圧と電圧ドロップ
    図4のようにコイル・接点側共に、同一回路電源(バッテリーなど)で駆動する回路では、 負荷ON時のコイル側電圧ドロップにより、電気寿命に影響することがありますので、実負荷でご確認ください。

図3:直流コイルの入力電源

直流コイルの入力電源

直流コイルの入力電源

リップル率計算式Emax. = 脈動分の最大値
Emin. = 〃 最小値
Emean. = 〃 平均値

図4:コイル印加電圧と電圧ドロップ

コイル印加電圧と電圧ドロップ

■最大印加電圧と温度上昇

コイルに最⼤印加電圧以上の電圧を加えると、温度上昇によるコイルの焼損やレアーショートを起こす場合があります。
また使⽤周囲温度の範囲もカタログ表記値を超えないようにしてください。

コイルの最大印加電圧

コイルの最⼤印加電圧はリレー動作の安定性から求められるほかに絶縁物の熱的劣化や変形、⽕災の原因とならないことなど、重要な制約を受けています。

コイルの温度上昇による感動電圧の変化(ホットスタート)

直流型リレーではコイルに連続通電した後⼀度OFFし、ただちに、ONする場合コイルの温度上昇により、コイル抵抗が増加し、感動電圧がやや⾼くなります。また温度の⾼い雰囲気で使⽤すると同様に⾼くなります。
銅線の抵抗温度係数は、1°Cあたり約0.4%であり、この割合でコイル抵抗が増加します。すなわちリレーを動作させるには、感動電圧以上の電圧が必要であり、抵抗値の増加に伴い感動電圧が⾼くなります。ただし、⼀部の有極リレーでは、この変化率がかなり⼩さくなります。

■コイル印加電圧と動作時間

AC動作の場合は、コイル励磁のスイッチがONした時の位相によって動作時間にバラツキがありますが、 小型のものはほぼ半サイクルで動作します。しかし、やや大型のリレーですとバウンスが大きくなって、 動作時間7~16ms復帰時間9~18ms程度になります。
またDC動作の場合は、コイルの入力が大きくなるほど、動作時間は速くなりますが、 a接点のバウンスが大きくなる場合があります。 負荷条件(特に、突入電流の大きい場合や定格負荷に近い場合など)により、 寿命の低下や軽溶着を発生することもありますのでご注意ください。

■迷走回路(まわり込み回路)

シーケンス回路を構成する場合、まわり込みによる誤動作、 異常動作とならないようにご注意ください。シーケンス回路を書くときの心得として図1のように、 2本の電源線を記したとき、必ず上側のラインを (+)、下側のライン (-) (交流回路であっても同じ考え方をすること) とし、(+) 側に接点回路(リレー接点、タイマ接点、リミット接点など)を必ず接続するようにし、 (-) 側に負荷回路(リレーコイル、タイマコイル、マグネットコイル、ソレノイドコイル、モータ、ランプなど) を接続してください。
図2は迷走回路の例です。
図2(a)において接点A、B、Cが閉じて、リレーR1、R2、R3が動作したのち、接点B、Cが開くと A→R1→R2→R3の直列回路ができて、リレーがうなったり、復帰しなくなったりします。
図2(b)のように接続するのが正しい回路の作り方です。 直流回路においては、ダイオードによるまわり込み防止が簡単にできます。

図1:シーケンス回路縦書きの例

図2:迷走回路

(a)よくない例×

(a)よくない例

(b)正しい例○

(b)正しい例

■コイル印加電圧の漸増と自殺回路

コイルに印加される電圧が徐々に増加してゆくようなとき、リレーの反転動作が不安定で接点圧⼒の低下、接点バウンスの増⼤、接触の不安定などが起こります。 このような使い⽅にならないようコイル印加⽅法(スイッチング回路の採⽤)を考慮してください。 またラッチング型リレーなどの場合、⾃⼰のb接点を⽤いて、⾃⼰のコイル回路を遮断してしまう使い⽅がありますが、トラブルのもとになりますのでおさけください。
図1はリード形リレーを⽤いてタイミングと順送り動作をさせた回路ですが、コイル印加電圧の漸増と⾃殺回路がミックスされたよくない例で、リレーR1のタイミング回路をタイムアップ時に切るようなことになり接点のバタツキが⽣じトラブルとなったものです。初期的(試作的)な実験ではうまくいったものの、接点の使⽤回数の増加にともなう接点の黒化(炭化物)とリレーのバラツキによって不安定な性能となったものです。

図1:リード形リレーを用いてタイミングと順送り動作をさせた悪い例

図1悪い例

R1:リード形リレー    C:コンデンサ
R2:リード形リレー    X:可変抵抗(時問調整用)

図1悪い例

R1a:R1リレーのa接点
R1b:R1リレーのb接点

■交流負荷開閉における位相同期

リレー接点の投入が交流電源位相に同期する場合は、 電気的寿命の低下や接点溶着あるいは接点転移によるロッキング現象(復帰不良)の発生することがありますので、 ランダム位相での開閉かどうか実システムでの確認を行ってください。 タイマ、マイコン、サイリスタなどでリレーを駆動する場合、電源位相に同期する場合があります。

図1:位相同期

図1:位相同期

■誘導障害による誤動作

長距離配線において操作回路用の電線と電力用の電線を1本の電線管に挿入して配線した場合、 操作用信号がOFFであるにもかかわらず、電力線からの誘導によって操作コイルに誘導電圧が印加され、 リレーやタイマなどが復帰しないことがあります。 以上のように長距離配線にあたっては誘導障害とともに分布容量による接点障害があったり、 雷などの外来サージの影響で機器が破損することがありますのでご注意ください。

■長年月の連続通電

リレー・⾼周波デバイスを開閉動作なしで、⻑年⽉連続通電するような回路(異常発⽣時のみ復帰しb接点で警報を発するような、⾮常灯、警報設備、異常点検回路)では、放置中は無励磁となるような 回路を設計してください。
コイルへの⻑期連続通電は、コイル⾃⾝の発熱によりコイルの絶縁劣化・特性劣化が促進されます。このような回路の場合、磁気保持型のラッチングリレーを使⽤してください。シングルスティブル型リレーを使⽤する場合、外部環境の影響を受けにくいシールタイプのリレーを使⽤し、万⼀の接触不良や断線に備えて、フェールセーフの回路を設計してください。

■稀頻度開閉でのご使用について

開閉頻度が月1回以下の使い方の場合には、定期的に接点の通電検査を実施してください。 長期間接点の開閉が行われない場合、接点表面に有機皮膜の生成などにより、接触不安定の原因となります。

■コイル電食について

リレーコイル電圧回路が比較的高い場合、 直流リレーを温・湿度の高い雰囲気で長時間あるいは連続通電したとき、 コイルが電気的に腐食されるいわゆる電食が起こり、断線することがありますので、次の点にご留意ください。

  • 1)電源の (+) 側をシャーシアースしてください:全リレー共通。(図1)
  • 2)やむを得ず電源の (-) 側をアースする場合、またはアースのできない場合
    • (1)接点(またはスイッチ)を電源の (+) 側に入れてください:全リレー共通。(図2)
    • (2)アース端⼦が不要の場合はアース端⼦とコイル(+)側を接続してください(図3)

図1:回路例(判定:○)

図2:回路例(判定:○)

図3:回路例(判定:○)

図4:回路例(判定:×)

3.接点に関する注意事項

■接点について

接点はリレーの最も重要な構成要素ですが、接点の現象というものは、接点材料、 接点にかかる電圧および電流値(特に投入時および遮断時の電圧、電流波形)、負荷の種類、開閉頻度、周囲の雰囲気、 接触形式、接点の開閉速度、バウンス現象の多少などによって著しく影響され、接点の転移現象、溶着、異常消耗、 接触抵抗の増大などの不良障害となって現れますので、使用に際しご検討ください。
以下に接点に関する注意事項を述べますのでトラブル防止の参考にしてください。 ご不明な点は当社営業担当までお問い合わせください。

電圧

接点回路の電圧は回路に誘導を含むときはかなり⾼い逆起電圧が発⽣し、電圧が⾼いほど、⼤きなエネルギーとなり、接点の消耗量、転移量が増加しますので、リレーの制御容量にご注意ください。また、直流電圧の場合は制御容量が極度に低下しますのでご注意ください。これはDCの場合、AC電流のようにゼロ点(電流ゼロの時点)が無く、従って⼀度アークを発⽣しますと消えにくいため、アーク時間が⻑くなることが原因です。さらに電流⽅向⼀定のため、接点の転移現象が起こり接点消耗につながるためです。
⼀般にカタログなどでだいたいの接点容量は表記されていますが、これだけでは不⼗分で、特殊な接点回路では試験確認が必要です。また、カタログなどでは抵抗負荷の場合と限定した接点容量が表記されていることがありますが、これはそのリレーのクラスを⽰す意味が⼤きく、⼀般に125 V AC回路の電流容量で考えます。
最⼩適⽤負荷は、微小負荷レベルにおける開閉可能な下限の⽬安となるものです。
この値は、開閉頻度、環境条件、期待する信頼性⽔準によって変わることがありますので、保証するものではありません。最⼩適⽤負荷以下でご使⽤された場合、信頼性が低下しますので、最⼩適⽤負荷以上で使⽤してください。アナログ微⼩負荷制御をご要望の場合(計測、無線など)AgPd接点のリレーを使⽤してください。

電流

接点の閉路および開路時の電流は接点に重要な影響を与えます。たとえば負荷がモーターやランプのときは閉路時の突⼊電流が⼤きいほど、接点の消耗量、転移量が増加し、接点の溶着、転移による接点開離不能といった⽀障を⽣じることがあります。従って、実使⽤に際しては、⼗分にご確認ください。
また、一般に通電時の電流が大きいほど接触抵抗は安定しますので、最小適用負荷以上であっても、期待する信頼性水準が得られない場合は、実使用環境の評価を踏まえ、通電電流を増やすなどのご検討をお願いいたします。

■一般的な接点材料の特徴

接点材料の特徴を下表に示します。リレー選択上の参考にしてください。

接点材料Ag(銀)導電率・熱伝導率は、金属中最大。低い接触抵抗を示し広く使用される。 欠点として硫化物雰囲気では硫化皮膜が生成しやすい。低電圧・微小電流レベルでは注意が必要。
AgSnO2
(銀酸化スズ)
優れた耐溶着性を有しているが、 Agと同じく硫化物雰囲気では硫化皮膜が生成しやすい。
AgW
(銀タングステン)
硬度・融点は高く、耐アーク性に優れ、転移・溶着に対して強いが接点圧力の高いことが要求される。 また、接触抵抗も比較的高く、耐環境性に劣る。 また、加工、接触バネへの取り付け工夫にも制限がある。
AgNi
(銀ニッケル)
電気伝導度に関してはAgに匹敵し、耐アーク性が優れている。
AgPd
(銀パラジウム)
常温では耐食性が良く、耐硫化性も良いがドライサーキットにおいては、 有機ガスを吸着してポリマーを生成しやすいため、金貼りなどを行ってポリマーの防止が必要。
表面処理Rhめっき
(ロジウム)
優れた耐食性と高硬度を兼ね備えており、めっき接点として比較的軽負荷の場合に使用される。 有機ガス雰囲気ではポリマーを生成することがあり、注意が必要。 密閉型リレー(リードリレーなど)の表面処理として用いられる。
Auクラッド
(金貼り)
耐食性に最も優れたAuを母材上に圧接したもので厚みの均一性とピンホールの無いことが 大きな特徴である。使用雰囲気条件が比較的悪い場合、特に微小負荷に対し効果が大きい。
Auめっき
(金めっき)
Auクラッドとほぼ同等の効果がある。 めっき処理によっては、ピンホールや亀裂のおそれがあり管理が重要。
Auフラッシュ
(金薄めっき)
0.1~0.5µm
スイッチあるいは、スイッチを組んだセットの保管中の接点母材の保護が目的であるが、 負荷開閉に際してもある程度の接触安定性を得ることが可能。

■接点保護について

逆起電圧

DCリレーをドライブするような、リレーシーケンス回路あるいは、 DCモータ、DCクラッチ、DCソレノイドなどの誘導性負荷を開閉する場合にはダイオードなどのサージ吸収を必ず行って 接点を保護してください。
これらの誘導負荷を切った場合、数百~数千Vの逆起電圧が発生し、接点に大きなダメージを与え、 寿命を著しく短くするおそれがあります。また、上記負荷の電流が比較的少ない1A以下の領域においては、 逆起電圧がグローまたはアーク放電の点弧をさせ、この放電によって気中に含まれる有機物を分解し、 接点に黒色の異物(酸化物、炭化物)を生成させ、接触不良を招くおそれがあります。
図1(イ)において、誘導負荷RをOFFした瞬間、逆起電圧 (e = −L di/dt) 図1(ロ)のような急な波形がコイルの両端に (+) (-) という方向で発生し、 この逆起電圧は電源ラインを通って接点の両端にかかります。
一般に常温常気圧の空気中の臨界絶縁破壊電圧は200~300V程度と考えてよく、 従って、前記の逆起電圧がこれをオーバーしている場合は、接点において放電が行われ、 コイルに蓄えられていたエネルギー (1/2 Li2) を消費することになります。逆起電圧を吸収した場合、200V以下にすることが望ましいです。

図1:逆起電圧と実測値の例

逆起電圧と実測値の例

転移現象

接点の転移現象というのは⽚⽅の接点が溶融あるいは蒸発して他⽅の接点に転移してゆくことで開閉回数の増加と共に図2のように凹凸を⽣じ、最終的にはこの凹凸がロックされた状態になって、あたかも接点溶着を起こしたようになります。これは直流の誘導または容量負荷で電流値の⼤きい場合や突⼊電流の⼤きい(数A~数⼗A)場合、すなわち、接点のメイク時に⽕花の出るような回路で多く起こります。
この対策としては接点保護回路の採⽤や、転移に強い、AgSnO2、AgW、AgCuといった接点の採⽤があります。⼀般的には(−)側に凸、(+)側に凹の形状を⽰します。直流の⼤容量負荷(数A~数⼗A)については、実⽤的な確認試験を必ず実施してください。

図2:接点の転移現象

接点の転移現象

接点の保護回路

接点保護素子や保護回路の使用により逆起電圧を低く抑えることができますが、 正しく使用しないと逆効果になりますのでご注意ください。
接点保護回路の代表例

CR方式

回路例適用特長・その他素子の選び方
ACDC
CR方式回路例△※
  • 負荷がタイマの場合CRを通して漏れ電流が流れ、誤動作を起こします。
    ※AC電圧で使用する場合、 負荷のインピーダンスがCRのインピーダンスより十分小さいこと。
  • 負荷がリレー、ソレノイドなどの場合は復帰時間が遅れます。
    電源電圧が24~48 Vの場合は負荷間に、100〜200 Vの場合は接点間に接続すると効果的です。
    特に高電圧領域で接点間のアーク遮断能力が問題となる場合には、負荷間より接点間に接続した方が効果的となる場合があります。
  • C、Rの目安としては
    C:接点電流1 Aに対し0.5〜1 μF
    R:接点電圧1 Vに対し0.5〜1 Ω
    です。負荷の性質やリレー特性のバラツキなどにより必ずしも一致しません。
  • Cは接点開離時の放電制御効果を受け持ち、Rは次回投⼊時の電流制限の役割ということを考慮し、実機にてご確認ください。
  • Cの耐圧は⼀般に200〜300 Vのものを使⽤してください。AC回路の場合はAC⽤コンデンサ(極性なし)を使⽤してください。
CR方式回路例

ダイオード方式

回路例適用特長・その他素子の選び方
ACDC
ダイオード方式回路例×コイルに貯えられたエネルギーを並列ダイオードによって、電流の形でコイルへ流し、 誘導負荷の抵抗分でジュール熱として消費させます。 この方式はCR方式よりもさらに復帰時間が遅れます。(カタログの復帰時間2~5倍)ダイオードは逆耐電圧が回路電圧の10倍以上のもので 順方向電流は負荷電流以上のものを使用してください。
電子回路では回路電圧がそれほど高くない場合、 電源電圧の2~3倍程度の逆耐電圧のものでも使用可能です。

ダイオード+ツェナーダイオード方式

回路例適用特長・その他素子の選び方
ACDC
ダイオード+ツェナーダイオード方式回路例×ダイオード方式では復帰時間が遅れすぎる場合に効果があります。ツェナーダイオードのツェナー電圧は電源電圧程度のものを使用します。

バリスタ方式

回路例適用特長・その他素子の選び方
ACDC
バリスタ方式回路例バリスタの定電圧特性を利⽤して、接点間にあまり⾼い電圧が加わらないようにする⽅式です。この⽅法も復帰時間が多少遅れます。電源電圧が24〜48 V時は負荷間に、100〜200 V時は接点間に接続すると効果的です。
特に高電圧領域で接点間のアーク遮断能力が問題となる場合には、負荷間より接点間に接続した方が効果的となる場合があります。
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下図のような接点保護回路の使用はおさけください。 通常、直流誘導負荷は、抵抗負荷に比べ開閉が困難ですが、 適切な保護回路を使用すると抵抗負荷と同程度まで性能が向上します。

遮断時のアーク消弧には非常に効果がありますが、接点の開路時Cに容量が蓄えられているため、 接点の投入時にCの短絡電流が流れるので、接点が溶着しやすい。

遮断時のアーク消弧には非常に効果がありますが、 接点の投入時にCへの充電電流が流れるので接点が溶着しやすい。

保護素子を取り付ける場合の注意事項

ダイオード、C-R、バリスタなどの保護素⼦を実際に組み込む場合には負荷または接点のすぐ近辺に取り付けることが必要です。あまり距離が離れていると、保護素⼦を付けた効果が発揮できない場合があります。この⽬安として50 cm以内と考えてください。

DC負荷の注意事項

リレーを直流の高電圧開閉器として使用される場合、最終故障モードは遮断不能に至る可能性があります。
もし、遮断不能に至った場合、最悪周囲部分への延焼の可能性がありますので1秒以内に電源を落としていただけるように構成いただくと共に、ご使用機器では安全上からフェールセーフとなる回路をご検討ください。
また、コイルのサージ吸収としてはバリスタをご使用ください。ダイオードを使用された場合、接点開離速度が遅くなり、遮断性能が低下します。

<推奨バリスタ>
エネルギー耐量:1 J 以上
バリスタ電圧:コイル定格電圧の1.5倍以上

L/R > 1 ms となる誘導負荷(L負荷)をご使用の場合は誘導負荷に並列にサージ吸収対策を行ってください。

直流負荷(火花発生)の高頻度開閉時における異常腐食

例えば直流のバルブとかクラッチなどを高頻度で開閉させた場合、 青緑色のサビが発生することがあります。 これは開閉に伴う火花(アーク放電)によって空気中の窒素と酸素が反応して起こるもので、 高頻度で火花の出る使用回路ではご注意ください。

■接点に関する使用上の注意事項

負荷と接点の接続

負荷の接点は図1(a)のように電源の片方に負荷を接続し、 接点はほかの一方にまとめて接続してください。これは接点と接点との間に高い電圧がかかるのを防ぎます。 (b)のように両方の電源にばらばらに接続しますと、そのために比較的接近している接点同士がショートした際に、 電源がデッドショートする危険性があります。

図1:負荷と接点の接続

(a)正しい例

(a)正しい例

(b)悪い例

(b)悪い例

ダミー抵抗

微小電流回路(ドライサーキット)に用いる接点は接点の電圧レベルが低いため 導通不良を起こしやすいので、負荷と並列にダミー抵抗を挿入して接点に与える負荷電流を 意図的に大きくすることも信頼性向上の一手段です。

異極間短絡

電気制御部を⼩型化する傾向によって制御部品も⼩型のものを選ぶ傾向にありますが特に電源回路の両切りなど、多極のリレーの極間に異電圧がかかるような回路では、品種の選定にご注意ください。
シーケンス回路図上のみでは知ることのできない問題でありますので、使⽤する制御部品の構造そのものをよく調べ、極間の沿⾯、空間距離、バリアの有無など、特に余裕を持たせておかないと短絡事故につながります。

リレーの並列接続について

複数のリレーを並列接続して使用される場合は、個々のリレーにかかる負荷が仕様範囲内となるように機器設計をお願いします。(1つのリレーに負荷が集中すると、早期故障につながります。)

接点間の短絡接続の禁止

小型の制御部品ではa、b接点の間隔が小さく、 アークによる短絡は当然起こるものと考えなければなりません。

  • a接点、b接点、COMの3接点が短絡接続されても、 これによって過電流が流れたり、焼損したりする回路は絶対構成しないでください。
  • a、b接点の切り換えによりモータの正、逆転回路を構成することのないようにご注意ください。

図2:a, b接点の誤った使い方の例

例1

例1

R1, R2:Rの接点
R:2極形のリレー

例2

例2

例3

例3

R1, R2:Rの接点
R:2極形のリレー

負荷の種類と突入電流

負荷の種類とその突入電流特性は、開閉頻度とも関連して、接点溶着を起こす大きな要因です。 特に突入電流の存在する負荷の場合には定常電流と共に突入電流値を測定し、 選定するリレーとの余裕度をご検討ください。右表は代表的な負荷と突入電流との関係を示したものです。
また、リレーによってはCOM、a接点の極性により電気寿命に影響することがありますので 実使用極性でご確認ください。

負荷の種類突入電流
抵抗負荷定常電流の1倍
ソレノイド負荷定常電流の10~20倍
モータ負荷定常電流の5~10倍
白熱電球負荷定常電流の10~15倍
水銀灯負荷定常電流の約3倍
ナトリウム灯負荷定常電流の1~3倍
コンデンサ負荷定常電流の20~40倍
トランス負荷定常電流の5~15倍

図3:負荷の突入電流波と時間的関係

(1)白熱電球負荷

白熱電球負荷

突入電流/定格電流=i/i0≒10~15倍

(2)水銀灯負荷i/i0≒3倍

水銀灯負荷i/i0≒3倍

一般に放電灯回路の場合には、放電管、変圧器、チョークコイル、 コンデンサなどが組み合わされており、特に高力率形で電源インピーダンスの低い場合には、 20~40倍の突入電流が流れるものもありますので、ご注意ください。

(3)蛍光灯負荷i/i0≒5~10倍

蛍光灯負荷i/i0≒5~10倍

(4)モータ負荷i/i0≒5~10倍

モータ負荷i/i0≒5~10倍
  • ブラッキング、インチングなどを行うと過渡状態がくり返されるので、条件はよりきびしくなります。
  • DCモータの動作およびブレーキの制御をリレーで行う場合、モータへの負荷がフリー状態とロック状態ではON時の突入電流、定常電流およびOFF時のブレーキ電流が異なります。特に無極リレーで1c接点のb接点側をDCモータのブレーキ用に使用する場合、ブレーキ電流により寿命に影響する事がありますので実負荷での確認をお願いします。

(5)ソレノイド負荷i/i0≒10~20倍

ソレノイド負荷i/i0≒10~20倍

インダクタンスが大きいので、遮断時のアーク持続時間が長くなり、 接点消耗しやすくなることがありますのでご注意ください。

(6)電磁接触器負荷
i/i0≒3~10倍

電磁接触器負荷i/i0≒3~10倍

(7)コンデンサ負荷
i/i0≒20~40倍

コンデンサ負荷i/i0≒20~40倍

リード線を長く使用する場合の注意事項

リレー接点回路でリード線を長く、(数10m以上)使用する場合は、 線間の浮遊容量のために、突入電流が問題となる場合があります。 この場合は、接点に直列に抵抗(数Ω~50Ω程度)を入れてください。

図4:等価回路

高温下での電気的寿命

高温下で使用される場合、電気寿命に影響をおよぼすことがありますので、 実使用状態でご確認ください。

開閉寿命について

開閉寿命については、JIS C5442の標準試験状態(温度15〜 35°C、湿度25〜75% RH)でのものです。
開閉寿命は、コイル駆動回路・負荷の種類・開閉頻度・開閉位相・周囲雰囲気などで異なりますので実機にてご確認ください。特に、次のような負荷の場合にはご注意ください。

  • 交流負荷開閉で、開閉位相が同期している場合
    接点転移によるロッキングや溶着が発⽣しやすい。
  • ⾼頻度での負荷開閉の場合
    接点開閉時に放電が発⽣する負荷を⾼頻度に開閉した場合に、放電エネルギーにより空気中のNとOが結合しHNO3が⽣成され、⾦属材料を腐⾷させる場合があります。
    対策としては、
    1.放電消弧回路を入れる。
    2.開閉頻度を下げる。
    3.使用周囲湿度を下げる。
    などが効果的です。
  • 電流の通電を伴わないドライスイッチングでご使⽤の場合は、必ず当社営業担当までお問い合わせください。

    ※ドライスイッチング(Dry Switching)
    ドライスイッチングは接点開閉時に投⼊・遮断が発⽣しないため接点消耗を少なくすることができますが、⼀⽅で接点の浄化作⽤が得られないため、導通不良が発⽣する場合があります。
    そのため、当社リレーをこのようなドライスイッチングでご使⽤いただくことはおすすめいたしません。
  • 微小負荷領域においては、大気雰囲気により生成される酸化皮膜や硫化皮膜等を破壊することができず、通電及び開閉性能に影響を与えることがございます。
    微小負荷領域でお使いの際は、想定される実使用環境にて、実機でご確認ください。

4.ラッチング型リレーの注意事項

  • ラッチング型リレーはリセット状態にして出荷していますが、 輸送時やリレー取り付け時の衝撃などによりセット状態になる場合があります。従って、 ご使用時(電源投入時)に必要な状態(セットまたはリセット)になる回路にされることをおすすめします。
  • セットコイルとリセットコイルへ同時に電圧を印加することはおさけください。
  • 次のような回路でご使用になりますとキープが解けることがありますのでダイオードを接続してください。
    • セットコイル、またはリセットコイルを各々並列接続する場合は 各々のコイルへダイオードを直列に入れてください。(図1、図2)
    • 一方のリレーのセットコイルと他方のリレーのリセットコイルを並列接続する場合も コイルへダイオードを直列に入れてください。(図3)
    • セットまたはリセットコイルと他の一般電磁リレーコイル、モータ、トランスなどの誘導性負荷を 並列接続する場合、セットまたはリセットコイルへダイオードを直列に入れてください。(図4)
    • ダイオードの繰り返し尖頭逆電圧および直流逆電圧は余裕のあるもの、 また平均整流電流はコイル電流以上のものを使用してください。

図1:セットコイルの並列接続

図1セットコイルの並列接続

図2:リセットコイルの並列接続

図2リセットコイルの並列接続

図3:セットコイル、リセットコイルの並列接続

図3セットコイル、リセットコイルの並列接続

図4:セットコイルまたはリセットコイルに誘導負荷が並列に入る回路

図4セットコイルまたはリセットコイルに誘導負荷が並列に入る回路
  • 電源にサージが多く含まれている条件で使用しないでください。
  • 自己接点での励磁は正常なキープをしないことがありますので、次のような回路で使用しないでください。
悪い例(×)
悪い例
RL :ラッチング型リレー
RLa:RLのa接点
RLb:RLのb接点

■4端子のラッチング型リレー

図1のように2巻線ラッチング型のセットコイル・リセットコイルのいずれか一方の端子を 各々結線して共通とし、他方の同極性の電圧を加えてセット・リセットする場合、 表1の2端子を短絡して使用してください。両巻線の間の絶縁を高く保つことができます。

4端子のラッチングリレーの場合

表1

商品名端子No.
DS1c-
2c15、16
ST
SP2、4

注)DSパワー、TQ、Sリレーなどは極性の関係上適用できません。
※ STリレーはセットコイルとリセットコイルを分離した絶縁抵抗の高い構造になっています。

■セット・リセット時の最小パルス幅

ラッチング型リレーをセットまたはリセットさせるためには、 各商品のセット時間またはリセット時間の5倍以上を目安に矩形波の定格電圧を印加するようにし、 さらに動作確認を行ってください。なお、セット(リセット)時間の5倍以上のパルス幅を取れない場合は、 当社営業担当までお問い合わせください。
また、コンデンサ駆動については、当社営業担当までお問い合わせください。

■2巻線ラッチング型リレーの誘起電圧

2巻線ラッチング型リレーの各コイルは、同一鉄芯上にセットコイルとリセットコイルを巻いてあります。 従って、各コイルに電圧を印加および遮断した際に逆側コイルに誘起電圧が発生します。 誘起電圧は、リレー定格電圧程度ですが、トランジスタ駆動の場合、逆バイアス電圧にご注意ください。

5.スティック包装の取り扱い

リレーの中には品種により、スティック包装されたものがあります。 このスティック包装の取り扱いにおいて、スティック内に端数のリレーが残っている際には、 リレーががたつかないように片側のストッパーを押し込んでください。
スティック内の隙間でリレーががたつくと、リレーの外観・特性上で支障をきたすおそれがあります。 十分にご注意ください。

スティック包装

6.使用条件について

■周囲温度、雰囲気について

  • ご使⽤場所の周囲温度はカタログ値を超えないように注意してください。
  • 周囲に塵埃、硫化ガス(SO2、 H2S)や有機ガスの少ない常温常湿の雰囲気中での使⽤をおすすめします。ご使⽤場所の周囲雰囲気の悪い場合はプラシール(密封型)リレーをご検討ください。
  • リレー複数個を接続する場合や、他の機器からのもらい熱がある場合は、放熱が不十分となり、リレーの使用周囲温度を超えてしまう場合がありますので、実機にて温度確認のうえ、熱的に余裕を持たせた回路設計をお願いいたします。

■シリコーン雰囲気について

リレー・⾼周波デバイスの周囲にシリコーン系物質(シリコーンゴム、シリコーンオイル、シリコーン系コーティング剤、シリコーン充填剤など)を使⽤するとシリコーンガス(低分⼦シロキサンなど)が発⽣し、プラスチックの透過性によりシリコーンガスが製品内に浸入します。このような雰囲気下でリレーを使⽤・保管すると、シリコーン化合物が接点に付着して接触不良になることがありますのでシリコーンガスを発⽣させるものはリレー(プラシールリレーも)近傍で使⽤しないでください。

■NOxの発生について

湿度の高い雰囲気中においてアークの発生しやすい負荷を開閉すると、 アークによって生成されたNOxと外部から吸収された水分によって硝酸が発生し、 内部の金属部分が腐食して動作に支障をきたす場合があります。
周囲湿度が85%RH以上(20°Cでの値)での使用はしないでください。 やむを得ずこのような雰囲気で使用される場合は当社営業担当までお問い合わせください。

■振動、衝撃

リレーとマグネットスイッチを並べて一枚のプレートに取り付けた場合など マグネットスイッチの動作時の衝撃によって、瞬間的にリレー接点が開離し、誤動作を起こす場合があります。 別々のプレートに分けた取り付けや、ゴムシートを用いた緩衝など、 衝撃のかかる方向を直角方向に変えるための対策をしてください。
また、常時振動がリレーに印加される場合(電車など)、ソケットとの組み合わせで使用しないでください。 リレー端子に直接はんだ付けすることをおすすめします。

■外部磁界の影響

リレーの周囲に大型リレーやトランス・スピーカのマグネット、永久磁石などが配置されるときは、 リレーの特性が変化したり、誤動作を起こす場合があります。 それらは、磁界の強さにより左右されますので実際の取り付け位置でご確認ください。

■使用周囲・輸送・保管条件について

使用・保管・輸送時は直射日光を避け、常温・常湿・常圧に保ってください。
使用、輸送、保管可能な温・湿度範囲、気圧は下記の通りです。

1)温度:リレーにより異なりますので個別仕様をご確認ください。
なお、スティック・テープ包装状態で輸送・保管される場合、 リレー本体の温度範囲とは異なる場合がありますので性能概要をご確認ください。

2)湿度:5~85% RH
注) なお、温度により湿度範囲が異なりますので、 図に示す湿度範囲でお願いします。
(許容温度はリレーにより異なります。)
湿度範囲

3)気圧:86~106 kPa

4)結露について
結露とは周囲雰囲気が高温多湿下で温度が高温から低温に急変するとき、 または低温中から高温多湿中へ急に移したとき、水蒸気が凝縮しリレーに水滴が付着する現象をいい、 絶縁劣化、コイル断線、さびなどの不具合の原因となります。結露による不具合は保証いたしかねます。
搭載されている機器の熱引き現象は製品内部の冷却を加速し、結露を促進するので、 実使用状態における最悪条件で評価してください。 (特に製品周囲に高発熱体がある場合はご注意ください。また、製品内部の結露も含みます。)

5)氷結について
0°C以下の低温では氷結にご注意ください。 氷結とは結露や異常に多湿の雰囲気でリレーに水分が付着した状態で温度が氷点以下になったとき 水分が凍り付くことをいい、可動部の固着や動作遅延または接点間に氷が介在し、 接点導通に支障をきたすなどの不具合の原因となります。氷結による不具合は保証いたしかねます。
搭載されている機器の熱引き現象は製品内部の冷却を加速し、氷結を促進するので、 実使用状態における最悪条件で評価してください。

6)低温・低湿雰囲気について
低温・低湿中に長時間さらされると、プラスチックの強度が低下することがあります。

7)高温・多湿雰囲気について
高温・多湿や有機ガス・硫化ガス雰囲気中に長時間保管(輸送期間含む)すると、 接点表面に硫化被膜や酸化被膜が生成し、接触不安定や接点障害や機能障害を発生させることがあります。 保管・輸送の雰囲気をご確認ください。

8)包装形態について
包装形態は、湿度、有機ガス、硫化ガスなどの影響を極力小さくするようにしてください。

9)保管⽅法について(シグナル、高周波)
サーフェスマウント端⼦のリレーは湿度に敏感であるため、防湿密封包装をしておりますが、保管の際には以下の点にご注意ください。

    1. 防湿密封包装パック開封後は速やかに使⽤してください。(30°C/70% RH以下の環境下で72時間以内にご使⽤ください。)
      開封後の状態にてそのまま放置しますとリレーが吸湿し、リフロー実装時には熱ストレスにてケースが膨張し、気密性を損なう可能性があります。
      ※REリレーは開封後24時間以内
    2. 防湿密封包装パック開封後、72時間以内にご使⽤にならない場合は、温度、湿度が管理できるデシケーターやシリカゲルを⼊れた防湿袋などで保管してください。
      注)吸湿した状態で、はんだ実装時に熱ストレスを加えるとクラック・リーク不良などが起こる場合がありますので、実装条件をご確認ください。
      ※REリレーは開封後24時間以内
    3. 湿度インジケータ/シリカゲル同梱品は以下の場合、はんだ付け実装前にベーク(乾燥)処理を実施し、ご使用ください。

(シグナル)
・ 1. に規定の保管条件を超過した場合。
・ 防湿密封包装パック開封直後、同梱されている湿度インジケータカードを確認し判定基準表 Ⅲ、Ⅳの場合。

<ベーク(乾燥)処理要否 判定基準>
湿度インジケータカードの各スポットの色で、ベーク処理要否をご判断ください。

判定基準表 ●:茶色 ○:茶色以外(青色系)

 5%10%60%ベーク処理要否判定
I不要
II不要
III必要
IV必要
湿度インジケータカード

<ベーク(乾燥)処理条件>
・リール状態:45°C 96時間以上

リール状態

・リール無し状態(リレー単品含む):60°C 35時間以上

リール無し状態

4. 防湿密封包装パックに注意ラベルを貼り付けております。

注意ラベル
※REリレーのみ

REリレー注意ラベル

■輸送時の振動・衝撃・圧力

リレーを取り付けた装置などを輸送される場合、強い振動・衝撃や⼤きな荷重がリレーに加わりますと機能障害を発⽣させることがありますので、振動・衝撃が許容範囲内になるように緩衝など包装形態の配慮をお願いします。

7.密封型リレーの注意事項

リレーにはプラシールなど密封型のリレーがあります。これらのタイプは耐環境性に優れているのはもちろんですが、⾃動はんだや洗浄などプリント板実装時のトラブルに対しても効果があります。
以下密封型リレーの特⻑や使⽤上の注意事項をご確認いただき、使⽤に際し、トラブルの無いようご検討ください。

■使用環境について

プラシールリレーは、特別な気密性を要求されるような環境には不向きです。通常平地ではまったく問題ありませんが 96±10 kPa 以外の気圧のもとでは使⽤をおさけください。また、引⽕性、爆発性ガスの雰囲気では使⽤をおさけください。

■洗浄について

密封型リレー(プラシールリレー)は洗浄ができますが、 はんだ後ただちに洗浄液などの冷たい液にじゃぶづけすることはおさけください。 密封性を損なうことがあります。
サーフェスマウント端子のリレーは密封型のため丸洗い洗浄が可能です。 洗浄液はアルコール系もしくは純水を使用してください。
洗浄はボイリング洗浄をおすすめします(洗浄液の温度は40°C以下にしてください)。 リレーの特性に悪影響を与えますので超音波洗浄は行なわないでください。 超音波洗浄をすると、超音波エネルギーにより、コイル断線や接点の軽いスティッキングの原因となります。

8.リレーの取り付けに関する注意事項

■BOTTOM VIEWとTOP VIEWについて

標準プリント板用リレー、特にフラットタイプは上面または底面に端子結線図を表示しています。

図1:BOTTOM VIEW

BOTTOM VIEW

BOTTOM VIEW表示しているリレー
(端子が上から見えないリレー)

図2:TOP VIEW

TOP VIEW

TOP VIEW表示しているリレー
(端子すべてが上から見えるリレー)
プリント板パターン設計時注意
(例:NCリレー)

■取り付け方向

リレーの性能を十分発揮させるためには、取り付け方向も考慮してください。

耐衝撃性

接点の動作⽅向および可動⽚の動作⽅向が、振動衝撃⽅向と直⾓になるように取り付けるのが理想的です。特にコイル無励磁状態におけるb接点の耐振耐衝撃性は、取り付け⽅向に⼤きく左右さ れますのでご注意ください。
機種により取り付け⽅向を指定しているものがありますので、カタログにてご確認の上、正しい取りつけ⽅向で使⽤してください。

接触信頼性

リレーの接点は固定接点、可動接点ともにその⾯が垂直になるように取り付けることにより、ゴミ、ホコリはもとより、アークが発⽣するような⼤きな負荷の場合の接点⾶散物や摩耗粉が付着しにくくなります。 また、1個のリレーで⼤きな負荷と微⼩負荷を開閉することは好ましくありません。⼤きな負荷を開閉した時に発⽣する接点⾶散物が、微⼩負荷の開閉接点に付着し接触障害が発⽣することがあります。 従って同⼀リレーにて⼤きな負荷と微⼩負荷を開閉することはおさけください。

取り付け方向

機種により取り付け方向を指定しているものがありますので、 カタログにて確認の上、正しい取りつけ方向で使用してください。

■近接取り付けについて

リレーを近接して多数個取り付けますと、 熱の相互干渉により異常に発熱することがありますので、 熱のこもらないように十分間隔をあけてください。
カードラック取り付けなどで基板を多数重ねる場合も同じです。 リレーの周囲温度がカタログ表記値を超えないようにしてください。

有極リレーの近接取り付けの影響

有極リレーを密接して取り付けますと それぞれのリレーの磁気干渉により特性が変化しますのでご注意ください。 近接取り付けの影響につきましては品種により異なりますので各々の品種のデータや注意事項をご確認ください。

■パネルへの取り付けについて

  • カバーは特性を保つため、外さないでください。(通常の取り扱いでは外れません)
  • 取り付けの際、破損・変形防止のために座金を使用してください。 締付トルクは0.49~0.686N・m(5~7kgf・cm)の範囲でお願いします。 また、緩み止めのため、スプリングワッシャを使用してください。

■タブ端子について

タブ端子のリレーにおけるファストンの挿入強度は40~70N(4~7Kgf)を目安としてください。

■絶縁距離について

取り付け状態において、各端子とアース間などの絶縁距離が十分に確保されているか、 ご確認ください。

9.端子台、ソケットの取り付けおよびリード線の接続方法

■取り付け方法

取り付け⽅向は特に指定しませんが、できるだけ接点の移動⽅向に振動、衝撃が加わらないように取り付けてください。

端子台使用について

  • 端⼦台は、取り付け⽳加⼯後、ねじで緩みのないように取り付けてください。35 mm幅DIN規格レールにワンタッチで取り付けられるワンタッチ式の端⼦台も⽤意しています。

■端子台、ソケットに関する注意事項

  • 通電状態でのリレーの抜き差しはおやめください。
  • 他社製リレーの搭載はおやめください。

■リード線の接続

  • 接続に際しては負荷電流の⼤きさより、⽬安として表1に⽰す断⾯積以上のリード線を使⽤してください。
    また、基板実装時の導体断面積についても、表1を目安に設定をお願いいたします。

表1

許容電流(A)断面積(mm2AWG
20.224
30.322
50.520
70.818
101.316
152.114
203.312
305.310
408.48
5513.36
7021.24
8526.73
9533.62
11042.41
12053.51/0
  • 端⼦台でねじ締め接続をされる場合、圧着端⼦など適当な接続端⼦をお使いになるか、接続線を緩みの無いように確実にねじ締めしてください。
  • 端⼦台の押締ねじブロックの締め付けトルクは、緩み防⽌および破損変形防⽌のため、次の範囲にて使⽤してください。
M4.5ねじ1.47~1.666 N・m(15~17 kgf・cm)
M4ねじ1.176~1.37 N・m(12~14 kgf・cm)
M3.5ねじ0.784~0.98 N・m(8~10 kgf・cm)
M3ねじ0.49~0.69 N・m(5~7 kgf・cm)

10.リレーの使い方チェックシート

分類チェック内容
コイル入力
について
定格電圧を印加していますか。
印加電圧は、許容連続通電電圧以下になっていますか。
リレー駆動用電源は、リップルについて配慮していますか。
有極リレーの場合、印加電圧の極性は正しいですか。
ホットスタートを必要とする場合、 リレーのコイル温度上昇によるコイル抵抗の増加を考慮した印加電圧値になっていますか。
負荷の影響により瞬時の電圧降下が無いですか。 (特に自己保持の使用方法についてはご注意ください。)
電源電圧の変動を考慮して定格電圧を決めていますか。
コイル印加電圧(電流)が徐々に増加減少する回路の場合、 リレー動作が不安定になることがあります。実回路、実負荷テストを行いましたか。
トランジスタ駆動の場合、電圧降下を考慮していますか。
負荷(接点)
について
負荷は接点の定格以下ですか。
負荷は接点の最少開閉容量以上ですか。
ランプ負荷、モータ負荷、ソレノイド負荷、電磁接触器負荷などは溶着に関して注意が必要です。 実負荷テストを行いましたか。
直流負荷の場合、接点の大きな転移が生じることがあり、ロッキング現象が発⽣する場合があります。実負荷テストを行いましたか。
誘導負荷の場合、基本的に接点保護回路を付けてください。
直流の誘導負荷でアーク放電の大きな負荷の場合、 空気中に窒素と反応して青緑色のさびが発生することがあります。 実負荷テストを行いましたか。
白金系の接点の場合、触媒作用、振動エネルギーによりブラウンパウダーを発生することがあります。 実負荷テストを行いましたか。
開閉頻度が高すぎないですか。
同一リレーで2回路(2T)以上の接点を使用の場合、 一方の接点消耗粉が他の接点(特に低レベル負荷の時)に飛び接触不良を発生することがあります。 実負荷テストを行いましたか。
遅延用にコンデンサを挿入する場合、このコンデンサにより、溶着することは無いですか。 実負荷テストを行いましたか。
ACリレーの場合、コイル投入位相によりバウンスが大きくなる場合があります。 このバウンスのため、溶着することは無いですか。実負荷、実回路のテストを行いましたか。
トランス負荷の場合、高い誘起電圧を発生することがあります。実負荷テストを行いましたか。
回路設計
について
コイル電触に対して考慮していますか。
リレーの逆起電圧によりトランジスタ回路などの誤動作・破壊を起こすことは無いですか。
リレーの開閉動作無しで長時間放置、または動作頻度が極めて少ない場合はコイルを無励磁にするよう、 回路設計していますか。
海外安全規格に準拠する場合、リレーの海外安全規格の取得定格以下の使用方法ですか。
リレーの動作時間、復帰時間が多少変化しても回路上誤動作が発生することは無いですか。
リレーのバウンスによる回路誤動作は無いですか。
高感度のラッチングタイプを使用する場合、誤動作に対する回路の配慮を行っていますか。
同一リレーで2回路(2T)以上の接点を使用の場合、 負荷開閉時のアークにより、極間短絡を発生することは無いですか。
同様に異なる電源回路を使用の場合、特にご注意ください。
海外安全規格、電気用品安全法などの絶縁距離を準拠する場合、取り付け後の絶縁距離は⼗分ですか。
トランジスタによる駆動の場合、回路設計は誤動作に対する配慮を行っていますか。
SCR ON/OFF制御の場合、リレーの動作・復帰が電源周波数に同期しやすくなり、寿命が極端に短くなる場合があります。実負荷、実駆動回路でテストをしてください。
プリント板の設計は充分な配慮をしていますか。
高周波回路で使用の場合、接点が開放状態であっても電流が漏れる場合があります。 リレーのアイソレーションを確認ください。高周波リレーを使用してください。
リレーの
使用周囲条件
について
使⽤周囲湿度は許容使用範囲内ですか。
使⽤周囲湿度は許容使用範囲内ですか。
周囲に有機性ガス、硫化ガスなどが無いですか。
特にシリコーン雰囲気は無いですか。 負荷によっては黒化物が発生し、接触不良になる場合があります。
使用周囲に微少なごみ、埃は無いですか。
油、水がリレーに付着することは無いですか。
振動・衝撃により、リレーとソケットの接触が悪くなることは無いですか。
使用周囲の振動・衝撃はリレーの振動・衝撃特性以下ですか。(衝撃印加方式により異なります。)
リレーの取り付け後の共振はありませんか。
リレーと一緒にプリント板に絶縁用塗料を塗布していませんか。 接点負荷によっては黒化物が発生し接触不良になる時もあります。
リレーの
使用取付方法
について
リレー端子を手付けはんだする場合、 はんだかす、フラックスがリレー内部に入るおそれはないですか。
フラックス塗布および自動はんだの作業配慮は充分ですか。
プリント板洗浄作業に注意を払っていますか。
有極リレーまたはリードリレーの場合、 リレーの磁気的相互干渉の影響の無い距離に離して使用していますか。
端子に強い力を加えて取り付けしていませんか。
有極リレーの場合、大きな外乱磁界によって特性が変化することがあります。 リレーの近くに大きな磁界は無いですか。
リレー接点回路でリード線を長く(数10m以上)して使用する場合は線間の浮遊容量のため、 突入電流が問題になることがあります。実負荷テストを行いましたか。
端子のはんだ付け作業は特に規定の無い限り手付けの場合250°C 5秒以内、 350°C 3秒以内で実施してください。
プリント板が著しく反り、リレー端子に力が加わり、リレーの特性が変化することは無いですか。
プリント板のフラックス洗浄のため、グラスショットを⾏っていませんか。ガラス粉末がリレー内部に⼊り動作不良になることがあります。
リレーのカバーを取り外して使用していませんか。 カバー取り外しますと特性が変化することがあります。
リレー使用上不用の端子を切断することが無いですか。 端子に力が加わり特性が変化することがあります。
保管・輸送リレーが氷結および結露することは無いですか。(特に船輸送)
保管・輸送時の温度は、許容範囲内ですか。
保管・輸送時の湿度は、許容範囲内ですか。
保管・輸送時の雰囲気に有機ガス、硫化ガスなどが無いですか。
保管場所に微少なごみ、埃が無いですか。
油、水などがリレーに付着しませんか。
リレーに大きな荷重がかかることが無いですか。
輸送時に許容範囲以上の衝撃・振動は無いですか。

機器設計の際は、『最新の商品仕様書』にてご確認願います。

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