パナソニック インダストリー / 制御機器
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操作用スイッチ用語説明と使用上のご注意

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1.用語説明

1.定格

一般に特定の条件を前提としてスイッチの特性、性能の保証基準となる値をいいます。例えば定格電圧、定格電流などがあります。

2.電気的寿命

接点に定格負荷を接続して、規定の条件で開閉したときの寿命をいいます。

3.機械的寿命

接点に通電せず、規定の操作頻度で動作させたときの寿命をいいます。

4.耐電圧

定められた測定箇所に高電圧を1分間印加したとき、絶縁破壊の起こらない限界値をいいます。

5.絶縁抵抗

耐電圧と同じ測定箇所の抵抗値をいいます。

6.接触抵抗

接点の接触部分の電気抵抗を示しますが、一般にはバネや端子部分の導体抵抗を含めた抵抗値をいいます。

7.耐振性

スイッチ使用中での振動により、閉路された接点が規定時間以上開離しない範囲の振動をいいます。

8.耐衝撃性

スイッチ使用中での衝撃により、閉路された接点が規定時間以上開離しない最大の衝撃値をいいます。

9.許容開閉頻度

機械的寿命(または電気的寿命)を満足する最大の操作頻度をいいます。

10.温度上昇

接点に定格電流を通電したとき、端子部で発熱する温度上昇値の最大を示します。

11.ハンドル強度

ハンドルに操作方向へ規定時間静荷重を加えた時、スイッチの機能を損なわない最大の荷重をいいます。

12.端子強度

端子に規定時間静荷重(規定のない限りすべての方向へ)を加えた時、機能を損なわない(端子の変形は除きます)最大の荷重をいいます。

2.負荷の種類

1.抵抗負荷

抵抗負荷とは、抵抗分のみの負荷で力率1(cosφ=1)の場合です。スイッチの定格表示は、交流で使用する際の電流容量を示しています。

2.直流負荷

直流負荷の場合、交流と異なり電流の方向が一定のため同一の電圧下の場合は、アークの継続時間が長くなります。

3.白熱ランプ負荷

ランプを点灯する際、スイッチをONにすると瞬間的に定常電流の10~15倍の突入電流が流れるため、接点の溶着が起きる場合がありますので、この過渡電流を考慮してスイッチをお選びください。

4.誘導負荷

誘導負荷(リレー、ソレノイド、ブザーなど)の場合、逆起電圧によるアークが発生して接点障害を起こすことがありますので、適当な火花消去回路(下図ご参照)のそう入をお勧めします。

回路図使用上のご注意
  1. rは数10Ω以上が必要です。
  2. AC電圧で使用するとき
    1. Rのインピーダンスが大きいとき不可。
    2. RのインピーダンスがC、rのインピーダンスに比べて十分に小さいとき可。
AC,DCとも適用できます。
r=R
C:0.1μF
  1. DC専用
  2. ACは不可
AC,DCとも適用できます。

5.モーター負荷

モータは始動時に定常電流の3~8倍の始動電流が流れるため接点の溶着が起きる恐れがあります。モータの種類によって異なりますが、公称電流の数倍の電流が流れますので下表の値を参考にしてスイッチをお選びください。なお、モータを逆回転させる場合は、ON-OFF-ONのスイッチを使用して相乗電流(始動電流+逆起電流)が流れないような配慮が必要です。

モータ種類種類始動電流
三相誘導電動機カゴ形銘板記載の電流の約5~8倍
単相誘導電動機分相始動形銘板記載の電流の約6倍
コンデンサ始動形銘板記載の電流の約4~5倍
反発始動形銘板記載の電流の約3倍

回転中に逆回転させる場合は、始動電流の約2倍の電流が流れます。またモータの逆回転操作、または異極切替などのように過渡現象を起こす負荷に使用する場合は、切替時の極間にタイムラグによって、アークの短絡(回路ショート)を起こすことがあります。ご使用に際してはご注意ください。

単極モータ逆回転回路例
単相誘導電動機(コンデンサ)強弱切替回路例
3相モータ逆回転回路例

6.コンデンサ負荷

水銀灯、蛍光灯およびコンデンサ回路のコンデンサ負荷の場合は、スイッチON時に非常に大きい突入電流が流れるため実負荷でその過渡値を測定し、定格電流を超えない範囲でご使用されるか、実負荷でご確認後ご使用ください。

3.使用上のご注意

はじめに(安全に関するご注意)

当社は品質、信頼性の向上に努めていますが、一般に電気部品・機器はある確率で故障が発生します。 また、使用環境、使用条件によって耐久性が異なります。ご使用にあたっては、必ず実使用条件にて実機確認を行ってください。 性能が劣化した状態で引き続き使用されますと、絶縁劣化により、異常発熱、発煙、発火のおそれがあります。 製品の故障もしくは寿命により、結果として人身事故、火災事故、社会的な損害などを生じさせないよう冗長設計、延焼対策設計、誤動作防止設計などの安全設計や定期的な保守の実施をお願いします。

1.微小負荷領域でご使用の場合

使用頻度が極めて少ない場合

当カタログに掲載のスイッチの接点には、特に表示のない限り、銀または銀合金を使用しています。したがって、経時変化、周囲環境によっては、接触面が硫化しやすいため、接触が不安定になる場合があります。このため、微小電流でご使用の場合、使用頻度の少ない場合には、AuめっきあるいはAuクラッドを施した下記商品をお使いください。

  • ターコイズスナップ
  • J2型操作用スイッチ
  • NDシリーズ操作用スイッチ・ドライサーキット型

2.使用環境について

  1. 次のような条件でのご使用は避けてください。
    • ガス(硫化水素・アンモニアガスなど)などの存在する場所
    • ガソリン、シンナー、LPGなどの引火性、爆発性のガスが存在する場所。
    • 周囲温度が各商品性能の値を超える場合。
    • ごみやちりの多い場所。
    • 気圧の低い場所。
  2. 特に指定のない限り防水型、耐油型、防爆型の構造ではありません。
    特殊用途でのご使用についてはご相談ください。

3.使用・保管・輸送時の雰囲気

  1. 保管・輸送時は直射日光を避け、常温・常湿・常圧に保ってください。
  2. 使用可能な温・湿度範囲は下記のとおりです。
    1. 温度:スイッチにより異なりますので個別仕様を参照ください。
    2. 湿度:5~85%RH
    3. 3.気圧:86~106kPa

    なお、温度により湿度範囲が異なりますので、下図に示す湿度範囲でお願いします。

     (許容温度はスイッチにより異なります。)
  • 高温・多湿の雰囲気中で周囲温度が急激に変化するとスイッチ内部で結露が発生することがあります。特に船による海上輸送の場合に発生しやすいため、輸送雰囲気にご注意ください。結露とは、雰囲気が高温多湿下で温度が高温から低温に急に変化するとき、またはスイッチを低温中から高温多湿中へ急に移したとき、水蒸気が凝縮し水滴となりスイッチに付着する現象をいいます。
  • 0℃以下の低温では氷結にご注意ください。氷結とは、結露や異常に多湿の雰囲気でスイッチに水分が付着した状態で、温度が氷点以下になったとき水分が凍りつくことをいいます。氷結により、可動部の固着や動作遅延または接点間に氷が介在し、接点導通に支障をきたすことがありますのでご注意ください。
  • 低温・低湿中では、プラスチックがもろくなることもありますので、ご注意ください。
  • 高温・多湿や有機ガス・硫化ガス雰囲気中に長時間保管(輸送期間も含む)されますと、接点表面に硫化皮膜や酸化皮膜が生成し、接触不安定や接点障害を発生させたり、機能障害を発生させることがあります。保管・輸送の雰囲気をご確認ください。
  • 包装形態は、湿度、有機ガス、硫化ガスなどの影響を極力小さくするよう、配慮をお願いします。

4.結線作業について

  1. PC端子のスイッチをはんだ端子として流用する場合は、細めのリード線を使用し、必ず巻きつけた上ではんだ付けをしてください。
  2. はんだ付け上のご注意
    はんだ付けは指定の条件にて素早く行い、フラックスが流入しないようにご注意ください。表示のない場合は、こて先温度350℃以下のはんだごてにて5秒以内に作業を終了してください。
    はんだ付け直後はリード線を引っ張らないようにし、時間をおいてご確認ください。

5.その他

  1. スイッチの故障モードとして、ショート(短絡)、オープン、温度上昇の発生が挙げられます。安全性が重視される機器につきましては、スイッチ故障に対し、機器としての影響を検討いただき、保護回路、保護装置による安全性の確保をお願いいたします。
  2. 使用周囲温度(湿度)範囲につきましては、スイッチを連続的に動作させることのできる温度(湿度)範囲であり、耐久性能、耐環境性能を保証するものではありません。性能保証につきましては商品毎の仕様をご確認ください。
  3. 接触の信頼性を高めるため、2極、3極、4極のスイッチを単極として用いる場合でも最大電流は定格値以下でご使用ください。
  4. 極間短絡が懸念される場合は、下記のように同相回路でご使用されるか、遊び極を設けてご使用ください。

    特にJ1型・J2型操作用スイッチについては、超小型のため、充分極間距離がとれないためご注意願います。

  5. 商品を落下された場合
    性能を損なうことがありますので、ご注意ください。
  6. 商品の操作方向に対して
    垂直な方向に無理な力をかけないようにしてください。
  7. ハンドルの操作は手で行ってください。
    (ドライバー・ハンマーなど工具での操作は故障の原因となります。)

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