ソレノイド使用上のご注意
使用上のご注意
安全上のご注意
ケガや事故防止のため、以下のことを必ずお守りください。
据付、運転、保守、点検の前に、必ず取扱い説明書や下記の使用上のご注意をお読みいただき、正しくご使用ください。
機器の知識、安全の情報、そして注意事項のすべてを習熟してからご使用ください。
[警告] 取り扱いを誤った場合に、使用者が死亡または重傷を負う危険性が想定される場合
[注意] 取り扱いを誤った場合に、使用者が傷害を負うかまたは物的損害のみが発生する危険性が想定される場合
警告
- 人身事故や重大な拡大損害に発展することが予測される用途にご使用の場合は、二重安全機構等の安全対策を組み込んでください。
- 燃焼性ガスの雰囲気では使用しないでください。爆発の原因となります。
注意
- 定格、環境条件等の仕様範囲外では使用しないでください。異常発熱や発煙の原因となります。
- 通電時には必ず可動鉄芯が固定鉄芯に完全に吸着するようにしてください。発煙、発火の原因となります。
適正な負荷でご使用ください
負荷の値は全ストロークにおいてソレノイドの吸引力以下であることが必要です。電源電圧の低下やコイルの温度上昇による吸引力の低下などを考慮して、85%電圧時の吸引力特性を目安として、負荷の上限を決めてください。また最大負荷が定格吸引力の30%以下となるような極端な軽負荷での使用は破損を早めます。右図斜線の範囲内の適正負荷でご使用ください。
連続開閉負荷の許容負荷(HS・ASソレノイドの場合に適用)
長時間連続して高頻度の開閉操作を行う場合、起動時の突入電流が繰り返し流れるためコイルが発熱し、極端な場合は焼損することがあります。
したがってソレノイドを高頻度で長時間連続して開閉操作を行う場合は、できる限り短いストロークでご使用されることをお勧めします。
やむを得ない場合には、負荷をある程度軽減してご使用ください。(下の表をご参照ください)とくに大型機種を重量負荷でご使用の場合に、ご注意ください。ただし、スプリング負荷でご使用になる場合は、重量負荷の場合に比べてかなり高頻度の開閉ができます。
定格吸引力 | 電圧 | 各開閉頻度における許容負荷 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
10(回/分) | 20(回/分) | 30(回/分) | 40(回/分) | 50(回/分) | 60(回/分) | ||
4.90N {0.5kgf} | 100V 200V | 4.41N {0.45kgf} | 3.92N {0.4kgf} | 3.43N {0.35kgf} | 2.94N {0.3kgf} | 2.94N {0.3kgf} | 2.65N {0.27kgf} |
7.85N {0.8kgf} | 100V 200V | 5.88N {0.6kgf} | 5.39N {0.55kgf} | 4.90N {0.5kgf} | 4.41N {0.45kgf} | 4.22N {0.43kgf} | 3.92N {0.4kgf} |
9.81N {1.0kgf} | 100V 200V | 7.85N {0.8kgf} | 7.35N {0.75kgf} | 6.86N {0.7kgf} | 5.88N {0.6kgf} | 4.90N {0.5kgf} | 4.41N {0.45kgf} |
14.7N {1.5kgf} | 100V 200V | 10.8N {1.1kgf} | 10.3N {1.05kgf} | 9.81N {1.0kgf} | 8.34N {0.85kgf} | 7.35N {0.75kgf} | 6.86N {0.7kgf} |
19.6N {2.0kgf} | 100V 200V | 12.7N {1.3kgf} | 11.8N {1.2kgf} | 8.83N {0.9kgf} | 5.88N {0.6kgf} | - | - |
29.4N {3.0kgf} | 100V 200V | 19.6N {2.0kgf} | 17.7N {1.8kgf} | 12.7N {1.3kgf} | 8.83N {0.9kgf} | - | - |
39.2N {4.0kgf} | 100V 200V | 34.3N {3.5kgf} | 31.4N {3.2kgf} | 25.5N {2.6kgf} | 19.6N {2.0kgf} | - | - |
44.1N {4.5kgf} | 100V 200V | 39.2N {4.0kgf} | 31.4N {3.2kgf} | 19.6N {2.0kgf} | - | - | - |
53.9N {5.5kgf} | 100V 200V | 44.1N {4.5kgf} | 34.3N {3.5kgf} | 24.5N {2.5kgf} | - | - | - |
63.7N {6.5kgf} | 100V 200V | 49.0N {5.0kgf} | 39.2N {4.0kgf} | 24.5N {2.5kgf} | - | - | - |
98.1N {10.0kgf} | 100V 200V | 88.3N {9.0kgf} | 68.6N {7.0kgf} | - | - | - | - |
※上表の値は60Hz、定格ストローク、1動作サイクル中の通電時間50%(ON:OFF=1:1)、重量負荷の時のものです。
- (注1):定格ストロークよりも短いストロークでご使用になる場合、電圧および負荷が同じなら、開閉頻度を高くすることができます。(例えば定格ストロークが1/2の場合、約2倍以上の頻度での開閉が可能です。)
- (注2):一般にスプリング負荷の場合には、上表の開閉頻度よりもかなり高頻度の開閉が可能です。(負荷量と開閉頻度の関係は、各々のスプリングの特性によって異なりますので、実際に即した頻度および負荷で、ご使用ください。)
- (注3):1動作サイクル中の通電時間の比率が小さい場合は、開閉頻度を多少高くすることができます。逆に通電時間の比率が大きくなると、頻度(または負荷)を小さくする必要があります。
- (注4):プッシュ型の場合は、プル型の場合の90%程度の負荷で、ご使用ください。
電源電圧の変動をご考慮ください
電圧が低下した場合、吸引力が不足してコイルが焼損することがあります。したがって、もし定格電圧以下になる可能性のある場所でご使用になる場合、その最低電圧時のソレノイドの吸引力が負荷の荷重よりも大きくなっているように、ご考慮ください。
定格ストローク以内でご使用ください
定格ストロークを越えてご使用になった場合、可動鉄芯が運動する際にこじれを生じたり、吸引力の極端な低下や動作時のコイルの温度上昇の増大を招きます。さらには、著しく寿命を短くします。
ソレノイドは、定格ストローク以内でも、可能な限り短いストロークで使用することが有利です。とくに高頻度の開閉を行う場合、あるいは長寿命が要求される用途に使う場合、できるだけ短いストロークでご使用になることをお勧めします。
取付方法
ソレノイドの動作による衝撃は非常に大きく、取付が不完全な場合、使用中取付部にゆるみや、ずれが生じ、思わぬ事故や騒音発生の原因になったりします。取付には、穴に合ったボルトを、ゆるみ止めナットや歯付き座金などを用いて充分に締め付け、固定してください。
(図1参照)
衝撃による振動を嫌う用途には、ソレノイドと取付面との間にゴムシートなどの緩衝材をはさんで取付板と共締めすると、かなりの効果が得られます。この場合取付面との共振による騒音も軽減できますが、直接取付ける時と比較して多少コイルの温度上昇が高くなります。また、吸引時には、可動鉄芯が必ず固定鉄芯に密着するように取付けてください。
(図2参照)
完全に閉じない場合は、大きな電流が流れコイルが焼損することがあります。
負荷との連結は
可動鉄芯と負荷との連結の際には、下記の点にご注意ください。
- 負荷はできるだけ可動鉄芯の中心軸上に働くようにし、可動鉄芯には横方向および斜め方向の力が加わらないようにしてください。
もし、可動鉄芯に横または斜め方向の力が加わりますと、可動鉄芯の動作にこじれが生じ、寿命を短くしたり、動作後大きな騒音を発することがあります。 - 動作状態において、可動鉄芯が必ず固定鉄芯と完全に面接触するようにしてください。(前項の取付方法をご参照ください。)
- プル型および両用型の場合、負荷連結穴に合ったピンを使用してください。
径の小さいもの、あるいはボルトなどを使用しますと、ピンや穴の摩擦によって、連結部にガタツキが生じ、寿命を短くします。 - プッシュ型の場合、圧縮面に当たる部分は、できるだけ面積を広くしてご使用ください。
コイル焼損保護方法
ACソレノイドの励磁電流は、可動鉄芯の位置によって大きく変わります。(各機種ごとの特性図をご参照ください。)
このため負荷の増大、研磨面への異物の介在などで、可動鉄芯が吸引されずに電圧が印加されますと、コイルを焼損することがあります。
これを保護するためには、過電流保護継電器をご使用になることをお勧めします。
この場合、動作時間が約20~30秒位になるような定格のものをご使用ください。
外部磁気回路の形成にご注意ください
取付板、負荷連結部、ストッパ、カバーなどが、すべて磁性体で構成されているような場合、可動鉄芯が引き離された状態でコイルが励磁されますと、右図に示すような外部磁気回路が形成されて、ソレノイドの吸引力に作用する有効磁束が減少し、吸引力(とくに起動時の吸引力)が著しく低下します。このような場合には、一部に非磁性体の材料を用いるか、あるいはすき間(3~5mm以上)を設けることが必要です。
保守
ACソレノイドは研磨面にチリ、ホコリなどが付着しますと騒音の原因となり、固形物が研磨面に介在しますとコイル焼損の原因となることがありますので、ご注意ください。
また、研磨面に油、グリス、水などが付着しますと、一種のリンキング作用により、極端な場合には、可動鉄芯が復帰しないこともあります。
使用中に異常騒音が生じたり、あるいは可動鉄芯が復帰しないような時には、まず研磨面を一度点検してください。
故障原因と対策
故障状態 | 故障原因 | 使用上のご注意 | |||||
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吸 引 不 能 | コ イ ル 焼 損 | 復 帰 不 良 | 取 付 部 の 破 損 | 負 荷 連 続 部 の 損 耗 | 騒 音 動 作 後 の う な り | ||
○ | ○ | ○ | 過負荷 | 負荷特性とソレノイドの吸引力特性を使用ストローク全域で確認し、適応する出力定格の機種を選定する。 | |||
○ | ○ | ○ | 負荷の異常増加 | クラッチ・ピンの操作などでタイミングが狂ったときのことなど、負荷の操作などで起こる異常を考慮して機構設計する。 | |||
○ | ○ | ○ | 極端な軽負荷 | 可動鉄芯吸着後の負荷荷重はソレノイドの定格吸引力の30%以上必要です。 | |||
○ | ○ | 電源電圧の低下 | 実用時の電圧変動の範囲を想定してその最低電圧で動作できるよう機構設計し、組立完了後確認する。 | ||||
○ | ○ | 電源電圧の過大 | 50Hzでは定格電圧の110%を越えないこと。60Hzでは定格電圧の115%を越えないこと。 | ||||
○ | ○ | コイル定格電圧の間違い | 使用前にコイルの定格電圧と回路電圧を確認する。 | ||||
○ | 制御接点の溶着 | 制御リレー・スイッチの選定は始動電流をもとに接点容量を決める。 | |||||
○ | 制御接点の導通不良 | 使用するリレー・スイッチは長寿命で信頼度も高いものを選ぶ。 | |||||
○ | ○ | ○ | 可動鉄芯動作方向の片寄り | 可動鉄芯の動作方向と負荷の方向は常に一致させる。 | |||
○ | ○ | 取付ネジのゆるみ | 取付は必ず4本共確実に締め、ゆるみ止めを施す。 | ||||
○ | ○ | 設定ストロークの位置ずれ | 使用中に動作ストロークにズレが生じぬよう取付け、ストッパを確実に、必ず定格ストローク内で使用する。 | ||||
○ | ○ | 高頻度操作による温度上昇 | できるだけ短いストロークで使用し適正な頻度、負荷で使用する。 | ||||
○ | ○ | 周囲温度による影響 | -25~+45℃の範囲で使用する。45℃以上の雰囲気で使用する場合は頻度、通電率をできるだけ低くする。(0~-25℃のときは氷結に注意する。) | ||||
○ | 油・水・粘着物の吸着面への付着 | 遮蔽ケースを設けるとともに時々点検を行い清浄に保つ。 | |||||
○ | ○ | ○ | 吸着面への異物の介在 | 遮蔽を行い直接接触面に異物が入らないようにする。 | |||
○ | 負荷連結ピンの不適 | ネジ・ボルトなどのネジ部がブッシュや、連結穴にかからないこと。穴に合った径のピンを必ず使用すること。 | |||||
○ | ○ | 取付面の平面度不良 | 取付面の平面度に注意する。ゴムシートなどをはさんで取付けるときは締め付けのバランスに注意すること。 |